週末公開の映画……2018.1.18

『消された女』☆☆☆☆
『ベロニカとの記憶』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)


篠原哲雄監督作品『花戦さ』が、日本アカデミー賞の優秀作品賞、
優秀監督賞を始め、8部門を受賞!
中高同級生の映画監督であり、昨年末に発表した2017年の個人的ベスト3作品の1本ですからね。
最優秀賞の発表は3月2日。強敵は多いけど、穫って欲しいなぁ。
さ、今週は2本です!


『消された女』は、韓国で実際にあった犯罪の映画化。

やり手のTVプロデューサーとして、飛ぶ鳥を落とす勢いのナムス。
ところが“やらせ”問題が発覚。一気に仕事を干されてしまいます。
そんなナムスの元に、一冊の手帳が送られてくるんですね。
それはカン・スアという女性の手帳。
そこには信じがたいような出来事が記録されていたのです。
一年前、昼の都会の大通りを歩いていたスアは、突然何者かに誘拐され、精神病院に監禁されたと。
そこでは強制的に薬物を投与され、暴力を受け、本当におかしくなってしまいそうだったと。
そんな中で正気を保つために、隠れてつけていた日記だというのです。
この手帳に興味を抱いたナムスがスアを訪ねると、彼女は今、
殺人事件の容疑者として収監されていたんですね。
面会に行き、取材を重ねてわかってきたのは、
そこに横たわっていたあまりに深い闇でした…。

韓国には2016年まで、精神保険法第24条に、
「保護者2人の同意と精神科専門医1人の診断があれば、
患者本人の同意なしに“保護入院”という名のもと、強制入院を実行できる」
という法律がありました。
つまり、保護者2人と精神科医1人が同意さえすれば、
正常な人も精神異常者として強制的に監禁されてしまうんです。
個人の財産を守るため、利益を独占するために、法を悪用して、
親族を精神病院に強制入院させる事件が多発していた韓国。
考えただけでもゾッとしますよね。
2016年の4月にこの映画が公開となり、
同年9月に「精神疾患患者の強制入院は、本人の同意がなければ憲法違反」
との判決が韓国の憲法裁で下ったそう。
この映画が話題となったからとも言われる衝撃作です。
ドンデン返しがあって、謎解きもきちんとやってくれますが、複雑なので、
1回でわかるかなぁというのが唯一の難点。
リピーターが多かったというのも、そんな意味で納得です。
実際に起きた事件だというから、本当に驚きです。
自分がもし監禁されたら…。恐ろしい話です。☆4つ。
「消された女」公式サイト



『ベロニカとの記憶』は、40年前の初恋にまつわる記憶の物語。

仕事を引退し、趣味の中古カメラの店を営みながら、穏やかな年金暮らしをしているトニー。
そのトニーの元に、法律事務所から“遺品”に関する通知が届きます。
亡くなったのは、40年前の初恋の相手であるベロニカの母親、セーラでした。
遺品というのはエイドリアンの日記。
エイドリアンはトニーの親友でしたが、トニーがベロニカと別れた後、ベロニカと交際。
その後、自ら命を絶ったのでした。
エイドリアンの日記をなぜ、ベロニカの母親であるセーラが持っていたのか。
また、その受け渡しを、遺言執行人であるベロニカが何故か拒んでいる。
謎の多いこの一件。高校時代の友人たちの力も借りて、
SNSでベロニカにメッセージを送ると、
ベロニカとの再会が叶うんですね。
しかしベロニカはそこでトニーに1通の手紙を手渡し、話もそこそこに立ち去ってしまいます。
それは、かつてトニーがエイドリアンに送った手紙。
あまりに酷い内容に、記憶から消し去っていた手紙でした。
すると、自ら衝撃を受けたトニーの脳裏に、40年前の真実が蘇ってきたのです…。

この作品も少々複雑です。
トニーの頭の中にある正当化した記憶と、実際の出来事にズレがある。
いや、トニーが自らズラしたと言ったほうが正しいのでしょうか。
トニーにとって、その真実を40年後に蘇らせたことが不幸だったかどうかは、
簡単に言えませんが、誰にでも“パンドラの箱”はあるもの。
何かの拍子で簡単に開いてしまうこともあるんですよねぇ。
「嘘も言い続けていると真実になる」。
昔、どこかで聞いた言葉です。いい言葉かどうかはわかりませんが(笑)、
“嘘”を“思い込み”に変えてもいいかもしれませんが、確かにあるよなぁと。
人生の終盤にこういうことが起こるということは、
きちんと清算してから幕を閉じなさいと、神様に言われてるのかも。
引退後のトニーは、中古カメラの店を営んでいます。
カメラはベロニカの趣味でした。そのことを考えると…ねっ。
自分のこれまでをも、ちょっと振り返ってみてしまいました。☆3つ。
「ベロニカとの記憶」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.13

『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』☆☆☆
『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』☆☆☆☆
『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』☆☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



1月に入ってから忙しく、まだ試写は1本。
今年は映画に関しては“追い込み型”かも(笑)。
さ、今週は3本です!


『5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜』は、実話を元にしたドイツ映画。

サリヤ・カハヴァッテ、通称“サリー”は、ドイツ人の母とスリランカ人の父の間に生まれます。
夢は一流のホテルマンになること。
ところが彼には、先天性の目の病気があり、就職活動を始めようかという矢先に発病。
手術により保てた視力は、わずかに5パーセントでした。
丸暗記でなんとか学校は卒業できたものの、障がいを記した就職願書はことごとく弾かれ、
ホテルへの就職は不可能だと思われていました。
そこで、目のことは隠してミュンヘンの5つ星ホテルに願書を提出。
すると、研修生に選ばれるんですね。
そこからサリーの奮闘が始まります。
思いもよらない発想で、次々課題をクリアして行くのですが、もちろん超難関にもぶつかります。
果たして、サリーは念願のホテルマンになれるのでしょうか…。

なんたって実話ですから。すごいです。
家族だけでなく、彼の障がいに気付いた人たちを味方につけていく、
そんな人間的魅力があればこそ、サリーは夢に向かって頑張れたのでしょう。
長い奮闘の日々を、映画では2時間弱にまとめなくてはなりません。
そこに現実離れした感じが出ちゃうような場面もありますが、そんな時、
「いや、この映画は実話に基づいているんだ」というのを思い出すといいと思います。
好きだから頑張れる。夢だから諦めない。
そのことがどれだけ大切かを、教えてくれると思いますョ。☆3つ。
「5パーセントの奇跡〜嘘から始まる素敵な人生〜」公式サイト



『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』は、3DCGで作った新たな“西遊記”。

お師匠さまのもとで修行を積んでいるリュウアーは、幼い頃、
妖怪に襲われて両親を亡くした男の子。
ある日のこと、リュウアーは妖怪に襲われた女の子を助けようとして、
五行山に迷い込んでしまいます。
そこには伝説のヒーロー、孫悟空が眠っていました。
お釈迦様によって五行山に閉じ込められて、500年。
リュウアーは偶然にも、その悟空を目覚めさせてしまうんですね。
ヒーローの登場に喜ぶリュウアーでしたが、悟空にその力は戻っていなかったのです。
その後、猪八戒と出会い、女の子を長安まで届けるための旅に出る悟空たちでしたが、
途中妖怪に襲われ、その背後に“混沌”という悪者が
幼い子供を生け贄にさらっていることを知ります。
果たして、リュウアーたちは、無事長安まで辿り着けるのか?
また、孫悟空は子供たちを救って、真のヒーローに戻れるのでしょうか…。

映像はキレイだし、ストーリーも新たなもの。
あちこちに笑いのエッセンスも散りばめられており、楽しく見ることが出来ました。
カンフーアクションの国だけあって、その迫力を出すのはお手のもの。
2015年の中国公開で、
中国制作アニメの歴代1位となる興行収入を叩き出したのも納得です。
大人も子供も楽しめる1本。ご家族でどうぞ!☆4つ。
「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」公式サイト



『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』は、
世界的ファッション・デザイナーを追ったドキュメンタリー。

フランス、パリを拠点とする独立系ファッション・デザイナーのドリス・ヴァン・ノッテン。
他のブランドとの違いは、自らがデザイン画を描かないこと。
スタッフと一緒に社内でアイデアを出し合い、煮詰め、生地作りから始めていく。
中でも、刺繍にこだわり、インドに工房を構え、職人による手仕事の美しさを大事にしています。
プライベートでは、きれいに造られた庭園も披露。
花を愛し、自家菜園で採れた野菜を調理する姿も映し出されています。
印象的だった言葉が、
「自分の生み出した美に酔いしれる。
でもボクにとって、それはショーの中でではない。フィッティングの瞬間にある。
シェフは料理に最後のひと工夫をして、それを味見したあとに客に出す。
極上の味を最初に味わうのは、まず料理人。次に客なんだ。
それに似てるかもしれないね」
深いですよね。
ファッション関係者には、
ボクなんかよりも響く部分が多いんじゃないかと思いますョ。☆4つ。
「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」公式サイト

 
 



 
 
週末公開の映画……2018.1.4

『愛の病』☆☆☆
『キングスマン ゴールデン・サークル』☆☆☆
(満点は☆☆☆☆☆)



新年あけましておめでとうございます。
2017年に見た映画は162本。おかげさまで、感性をたっぷりと刺激してもらいました。
今年も出来る限り試写に足を運んで、公開直前にご紹介出来ればと思ってます。
映画セレクトの参考にして頂ければ幸いです。
あ、毎年言ってますが、☆が少ないと駄作という訳ではありませんから(笑)。
あくまでボクの個人的嗜好ですので。誤解なきよう。
2018年もどうぞお付き合い下さい!
さ、今週は2本です!



『愛の病』は、実際に起きた凶悪事件の映画化。

DV夫と別れ、ひとり娘の手を引いて実家に戻ったものの、邪魔者扱いのエミコ。
仕事もなく、生活費にも困っていた時、出会い系サイトのサクラのアルバイトを見つけます。
そこで真面目な工員の真之助と知り合い、嘘の名前と経歴で真之助を虜にすると、
自分がヤクザの組長の娘だと言い、父親を口説くにはお金が必要だと、
真之助の貯金を騙し取っていくんですね。
そんな中、ひょんなことから解体工のアキラと出会い、エミコはアキラに夢中になります。
ところが、アキラには重度の障がいを持つ姉がいました。
アキラは「姉の介護で付き合うことは出来ない」と言うのです。
エミコは姉の存在が疎ましくなり、殺してしまいたいと考えるようになります。
そして、その殺人を、真之助に依頼するのでした…。

2002年7月、和歌山で実際に起きた“和歌山出会い系サイト強盗殺傷事件”を映画化したもの。
昨年も何本かそんな映画がありましたが、オリジナル脚本が減り、
マンガや小説などの原作ものならまだしも、実際の事件が映画になるほど、
凶悪事件が“まるでドラマか映画のよう”になっているということですよね。恐ろしいことです。
主演の瀬戸サオリは、ジャンポケ斉藤さんの奥さんの瀬戸さおりさんではなく、
俳優・瀬戸康史の妹。今回は体当たりの演技で頑張ってます。
見ていて、あまりに自己中心的な連中に虫唾が走るような内容ですが、
主演の瀬戸サオリの頑張りに拍手です。☆3つ。
「愛の病」公式サイト



『キングスマン ゴールデン・サークル』は、前作『キングスマン』の続編。

ロンドンの高級テーラーに拠点を置く、世界最強のスパイ組織『キングスマン』。
今やキングスマンの立派なエージェントに成長したエグジーは、
突然、元エージェント候補生だった裏切り者のチャーリーに襲われます。
チャーリーを操っていたのは、世界の麻薬市場を支配する“ゴールデン・サークル”の女ボス、ポピー。
裏社会から表舞台へ出たいと目論んでいたポピーは、
まず手始めにキングスマンを壊滅させようと企んでいたのでした。
なんとかチャーリーを撃退したエグジーでしたが、
キングスマンの秘密情報を盗まれてしまいます。
そして、ロンドンのテーラーが爆破され、メンバーのほとんどが殺されてしまったのでした。
生き残ったメカニック担当のマーリンと会い、
キングスマンが機能しなかった時にと準備された手順に従い、
とある場所の金庫を開けると、そこには1本のバーボンのボトルがありました。
そこに書かれていたのは、アメリカ・ケンタッキー州のバーボンの蒸留所。
ふたりは急遽アメリカに渡るのでした…。

あらすじはさわりの部分だけ。
蒸留所が、実はキングスマンの同盟組織“ステイツマン”の拠点だったり、
悪のサイコ・ボスであるポピーが、とんでもない方法で世界征服を狙っていたりします。
ここからは見てのお楽しみ。
ただ、2年前の前作は、まだアクションにも人間らしさがあったように記憶してますが、
今回は超人的で(笑)。『007』などのスパイものも確かに超人的ではありますが、
前作の『キングスマン』には、アナログな部分が残っていたような気もするんですよね。
のっけから迫力はすごいんですが、その分、
“街に潜んでいる”というリアリティは無くなっちゃったかな。
「いらないでしょ。そんなリアリティ」という人にはもっと☆があってもいいかも。
まさに個人的嗜好ですが(笑)、ボクにはそれが残念で。☆3つ。
「キングスマン ゴールデン・サークル」公式サイト